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女性の言葉を遮るように、エレベーターが突然止まった。
同時にエレベーター内の照明も消えた。
「うぉ!」
男性が声を上げる。
「停電かしら?」
女性が言った。
「そうかもしれないですね。」
私は女性を見て答えた。
「くっそぅ…。約束に遅れちまう。」
男性はぼやいた。
「非常ボタン押してみたら。」
女性が男性の横に立ち言った。
「さっきから押してるさ。」
男性は苛立ちながら言った。
「停電だからつながらないのかねえ。」
女性は言った。
「この番号にかけてみよう。」
男性はエレベーターの会社の番号を見て言った。
そして携帯を取り出した。
「うぉ!もう時間がない。ちょっと上司に連絡しないといけないから、あんたこれに電話してくれ!」
男性は女性を見て言った。
「あたしゃ、そんな物持ってないよ。」
女性は言った。
「じゃあ、あんた。」
男性は私を見た。
「あ、はい。」
私はバッグから携帯を取り出し、ダイアルした。
男性は端の方でしゃがみ、片手で口元を覆いながら電話を始めた。
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