二、葛藤

27/59

100人が本棚に入れています
本棚に追加
/835ページ
しばらくすると足音が聞こえた。 「こんにちは。」 宮脇さんが顔を出した。 「こんにちは。昨日はありがとうございました。」 私は笑顔で言った。 「いえ、こちらこそ二日間も付き合って頂いてすみません。」 宮脇さんは鍵を閉めながら言った。 「いえ、貴重な休みを潰して頂いて嬉しいです。」 私は宮脇さんの背中を見ながら言った。 私達はエレベーターに乗った。 「ここで全てが始まったんですね。」 宮脇さんは言った。 「ええ、あの故障がなければ、宮脇さんとすれ違うことはあっても、こうやってお話ししたり、どこかに出かけたりは無かったですよね…。」 私は言った。 「そうですね、俺は妊婦さんがいるなとは思ってましたが、普通に旦那さんがいると思ってましたから。」 宮脇さんは言った。 「でも宮脇さんは彼女さんとか居ないんですか。もしいてるなら、申し訳ないなと思いまして。」 私は言った。 「まさか、いたら殺されますよ。なかなか仕事ばかりやと出会いも無いですし。」 宮脇さんは笑って言った。
/835ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加