二、葛藤

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「そうですか…。」 宮脇さんは言った。 「あ、これがいいかもしれないです。量も多くないし高くないけど高級ぽく見えますし。」 私は和菓子を指差しながら言った。 「確かに高級ぽく見えますね。」 宮脇さんは言った。 「じゃあこれに決めます。ボールペン見に行きますか。」 私は宮脇さんの顔を見た。 「え、はい。行きますか。」 宮脇さんは思い出したような表情で答えた。 「疲れちゃいましたか?すみません、せっかくの休みなのに、引っ張りまわして…。」 私は言った。 「いえ、違うんです。ただ…考え事をしてただけで…。」 宮脇さんは言った。 「考え事?」 私は言った。 「ええ、仕事の事で。出張先で、ちらっと転勤の話がありまして。」 宮脇さんは言った。 「転勤って東京にですか。」 私は戸惑いながら言った。 「ええ…まだ正式に言われてはないんですが…。」 宮脇さんは言った。 「そ、そうなんですか…。」 私はそう答えるしかなかった。
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