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「大丈夫かい?もしかして、規則的に痛みが来てるのかい。」
女性は私の顔を覗き込み言った。
私は黙って頷いた。
「何てことだ!」
男性は叫んだ。
「初めての出産かい?」
女性は言った。
「はい。」
私は小さく答えた。
「おいおい!早くなんとかしないと、ここで生まれちまうぞ!」
男性は叫んだ。
「静かに!」
女性は男性の方を振り向いて言った。
「初めてならおそらくそんなすぐには生まれないはずだよ。私も十時間位かかったからね。旦那さんに連絡しなくてもいいのかい?」
女性は私の顔を見て言った。
「…旦那は、いません…。」
私は答えた。
「…一人で育てるのかい?」
女性は言った。
「はい…。う、痛い!」
私は下腹部と腰の痛みで、ただ座っていることが出来なくなった。
痛さを紛らわす為に体を揺らし、横になったり四つん這いになったりした。
「痛い痛い痛ーい!」
私は恥を忘れ叫んだ。
「落ちついて!痛みを逃す呼吸を習ってるんじゃないかい?それしてみなさい。」
女性は言った。
「ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。」
私は動きまわりながら呼吸法をしてみたが痛みはやはり強い。
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