味噌汁一杯くださいっ！

味噌汁なんか大嫌いだっ！

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ……
そのチャイムが鳴りだした途端、それまで眠たげな目をしていたみんなの目が見開かれた。
「はい、授業はここまで。起立！」
『起立』の合図と共に一人残らず一斉に立つ。
「礼！ありが……」
《ありがとうございました！》
先生の声などかき消して、これまた一斉に礼をする。
そして、先生が教室から出るのを待たず、給食に備えて一斉に動き始めた。
係の人は給食を取りに、係じゃない人は机や椅子を班の形に動かす。
そこには一点の隙もない。
そう、私立丸宮小学校五年二組の生徒達は、給食時には訓練された兵隊よりも機敏に動くのである。
そしてチャイムから4分後。
既に給食のほとんどを配り終え、後は何故か給食に出た味噌汁を、配るだけとなっていた。
そう、このクラスでは、チャイムから5分前後で給食を配り終えるのである。