味噌汁なんか大嫌いだっ!

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その日もいつも通り上手くいく筈であった。 その時に汁物担当の係だった、篠村満美子がクシャミさえしなければ。 いつものように、匠の技を見せ付けるかのように、次々と味噌汁を配っていく。 そして最後の男子に味噌汁を配る時、事件は起きた。 ハッハクシュッ! 可愛らしいクシャミと共に、器に入る筈だった味噌汁は、中を舞い、そして―― ベチョッ、ギャー その男子の顔を直撃した味噌汁は、そのまま顔を流れ、服をも汚す。 教室中に殺気にも似た気配が流れた。 食い物の恨みは恐ろしい、という事だろうか? その時、満美子の目には、目の前の男子の頭に角が見えた。 控え目な声で女性担任は言う。 「篠村さん、謝りなさい。富田林(とんだばやし)君、ワザとじゃないんだから、許してあげてね?」 気のせいか、その若い担任の顔が、少し老けて見えた。 それが他の生徒にも分かったのだろう、クラスに気まずい雰囲気が流れた。
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