第9章 イエスム号沈没事件

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甲斐は必死に走った。もうすぐ朝が明けてしまうので、かなり必死だった。 そして少し冷静にしてると、そう言えば後ろに勝也と悟の足音がしない。   走っているスピードを減速し、後ろを見た。   誰もいない。   「あ!!!!…また右と左を間違えた。」   甲斐はガックシとうなだれた。 あの強盗のときと一緒じゃねぇか……。 『パラララララ!!!』 頬を何かがかすめた。暖かいものが頬を伝うのが分かった。   さっと後ろをふりかえった。   仲居がこっちに走ってくる!   「やべー!!なんでコッチに来るんだょ!!死ぬ、死ぬ~~~~!!」 甲斐は思わず小道から、人が開拓していない草ボーボーのところへ飛込んだ。 と、足が地に着かないのを感じた。甲斐はまっ逆さまに穴に落ちてしまった。     仲居は甲斐が落ちていった穴を見下ろした。穴は気味がわるいくらい暗く吸い込まれるよぅだった。『パラララララ』 穴に銃を発砲し、仲居はこの場を去った。           甲斐は穴の底へ辿りついた。足が上を向き、なんとも情けない格好だ。 『パラララララ』 上から銃声が響いた……。
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