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一方、悟と勝也は。
「甲斐君は大丈夫だろぅか?」
チラチラ後ろを勝也が見返した。甲斐はもちろんのこと、中居も見えなくなった。
「どうしますか??」
悟が勝也の背中から呼び掛けた。
「その中居って野郎がアジトに行くことだけはあってはならないんだ。甲斐君が中居に追い掛けられてるとして、甲斐君が行った道は運よくアジトには繋がっていないルートなんだ。それは安心なんだが、甲斐君が心配だ…」
「大丈夫っすょ!甲斐はそんな簡単に死ぬ奴じゃないすょ!」
『パララララ』
「たぶん…」
悟の顔は引きつった。
「そぅだな!甲斐君が生きていることを願っておこう。」
森の合間の隙間から光がさしこんだ。
「これって、まさか…日の出??」
「間に合わなかったか…マズイことになったぞ…」
「野人が起きちゃう…」
そぅ、日の出の時間は理性を失った人間が這回する危険な時間なのだ。
「グルルル…」
「わぅ──────」
日が差しても仄暗い森の奥から獣のうめき声が響いてきた。
「ヤバイ!海の方に逃げよう!」
勝也が道無き未開拓の森の方へ、危険を顧みず踏み込もうとしたときだった。
「ガルルルル!!!」
牙を剥き出しにした世にも恐ろしい野人が二人の前に現れた!
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