第9章 イエスム号沈没事件

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「で、でたぁ────!!」 悟は勝也の背中でジタバタして叫んだ。 「ま、まずいぞ。」 あの勝也までも不意を打たれた感じで後退りをするほどだ。   野人が四足歩行でのっしのっしと歩みよる。 その度に勝也は後ずさりしてしまう。   「ガァ─────ァ!!」 ついに飛びかかってきた。 と、勝也はその瞬間に悟を背中か振り落とし、身軽になった体から強靭な腕からなせる右ストレートを放った。 野人の右腹におもいっきり拳が食い込んだ。 悲痛な悲鳴を鳴らし、右へ吹っ飛んだ。 しかし、悟は立派なオシリを強打し、野人と同じようにジタバタしていた。   「うわー…ケツ割れた…」 そう言いながら悟は仰向けになったまま、首を起こし後方のほうを見てみると、もぅ一体野人がいるではないか。 「い!!!!」 悟が驚いた否や、飛びかかってきた! 悟は上手に体を起こし、野人はそのまま地面へダイブし、そのまま叩き付けられた。悟は怪我をした片足のバランスが取れなくなり、野人へ倒れこんでしまった。 野人は打ち所が悪く、そのまま気を失った。 「あら…はは、もうけ!」 悟は自分が強くなったような気がした。   『ガサ』   草影からまた何かが出てきた。 悟と勝也はその方へ体を向け、臨戦体制を構えた。   『パラララララ!!』   出てきたものは粉ごなになった野人の真新しい死体だった。   中居が草むらからのっしりと現れた…
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