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悟と勝也が今大変な目にあっているのにも関わらず、甲斐は真っ暗な、ときたま蛍光灯の電気がチカチカ光るトンネルを歌いながらはや歩きで歩いていた。
「怖くなんかないさ♪♪ふっふ~ん♪」
甲斐か怖かった。
それにしてもトンネルはずっと真っ直ぐ続いていた。
光りがともっても、先は暗いままだ。
それを見てたら吸い込まれそうな不思議な錯覚を覚えた。
『ブゥーーーーン』
トンネルに何かエンジンのような重低音が響きわたった。体の芯をその重低音が貫き、激しい頭痛が甲斐を襲った。
「だぁあぁあぁあ!!」
甲斐はその頭痛に我慢できず、はや歩きから全力ダッシュへ切り替えた。
『ブゥーーーーン』
ワンワンとトンネルと甲斐を体貫く。
「いだぁ~~~~~~い!!!」
暗くて前がよく分からなかったが、とにかく甲斐は必死だった。
しかし、前に進めば進むほど音はひどくなっていった。
「なんで~なんで~なんで──────!!」
「だぁ─!!!」
甲斐は行き止まりのところにぶつかった。
『ブゥーーーーン!ブゥーーーーン!』
甲斐はジベタをごろごろとうめき回った。
ふと、視線を前にやると、行き止まりは横へ延び、右と左へT路地になっていた。
どうやらその音は右から響いている。
「左だ!左!!」
甲斐は左へ一目散へ駆け出した。
また行き止まりにブツカッタ。
しかし、今度は甲斐が勝った。
行き止まりはボロボロと崩れた。
目の前には見覚えのある骸骨の頭が…。
そして、上から奈美の声と誰か分からない男の声が聞こえた。
「さぁ、話して。あなたは昔何を仲井艦長にされたのか…」
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