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それは日が昇る前───
ちょうど、甲斐ら三人が崖で仲居を見つけたとき──
奈美は怪我をした笹原の肩をもち、砂浜からアジトへ担ごうとしたときだった。
『パララララ─────!』
島の裏のほうから恐怖の爆音が放射状に波紋を広げた。
奈美の顔が恐怖でひきつり、笹原の目は怒りに満ちた。
「…ちょっと待って…仲居艦長も来たの??」
「どぅやらその用だ…まねかねざる客とは奴のことだな…好都合だ、奴の息の根を今度こそ止めてやる…!」
「やめてょ!あんたは先ずその怪我の手当て!ほら!…行くよ」
奈美のたくましさに笹原はたじろいた。
「こりゃたのもしぃな」
笹原はクスッと笑った。
「甲斐と悟にも伝えなきゃ!」
奈美は先を急いだ。
「甲斐と悟??友達もいるのか??」
「友達…っていぅ深い関係じゃないけど…」
奈美の心の中で悟の一言が響いた。
『親友としてアイツを守りたい……!奈美も守りたい……』
奈美はクスッと笑った。
「そぅね…もぅ友達なのかもしれないわ…」
奈美は初めて悟が言ってくれたことが身に染みてわかってきた。
今こそ仲間で結束して、このピンチを脱出、エスケープしなければならないのだ。
奈美は意を決した。
待ってるだけじゃ何も変えられないんだ……。
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