第9章 イエスム号沈没事件

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それは日が昇る前───   ちょうど、甲斐ら三人が崖で仲居を見つけたとき──   奈美は怪我をした笹原の肩をもち、砂浜からアジトへ担ごうとしたときだった。   『パララララ─────!』   島の裏のほうから恐怖の爆音が放射状に波紋を広げた。 奈美の顔が恐怖でひきつり、笹原の目は怒りに満ちた。   「…ちょっと待って…仲居艦長も来たの??」 「どぅやらその用だ…まねかねざる客とは奴のことだな…好都合だ、奴の息の根を今度こそ止めてやる…!」 「やめてょ!あんたは先ずその怪我の手当て!ほら!…行くよ」   奈美のたくましさに笹原はたじろいた。 「こりゃたのもしぃな」 笹原はクスッと笑った。   「甲斐と悟にも伝えなきゃ!」 奈美は先を急いだ。 「甲斐と悟??友達もいるのか??」   「友達…っていぅ深い関係じゃないけど…」 奈美の心の中で悟の一言が響いた。 『親友としてアイツを守りたい……!奈美も守りたい……』 奈美はクスッと笑った。 「そぅね…もぅ友達なのかもしれないわ…」   奈美は初めて悟が言ってくれたことが身に染みてわかってきた。 今こそ仲間で結束して、このピンチを脱出、エスケープしなければならないのだ。 奈美は意を決した。 待ってるだけじゃ何も変えられないんだ……。
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