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イエスム号は航海をつづけ、夕日が水平線の向こうに消え、暗い夜が来た。
船内はあるパーティーで盛り上がっていた。
操舵室には二人の男が船の舵をまかされていた。
「下は楽しそうだな~~。旨い飯がたくさんあるんだろうなぁ。早く交替の時間にならないかなぁ。なぁ兄貴~。」
「おぃ!今は仕事中だぞ。気安く兄貴とか呼ぶんじゃない!…まぁ、今は非番だから特別だけどな。」
若き日の笹原 英吉はニッコリと笑った。
「なぁ、太一。お前はこの船の艦長についてどぅ思う?」
「そりゃぁ、尊敬してるょ。なんたって最年少で艦長に就任したんだから。だから今日は下階の大広間で、中居艦長就任パーティーを開催してるんだ。イイナァ~~~。」
「そぅか。それなら安心だ。」
英吉はほっとした。
なぜかと言うと、太一は両親を早くに失ってからグレてしまぃ、学校では問題ばかり起こしていた。結局学校から退学させられ、太一は行く宛てがなくなってしまった。
そんなダメダメな弟をみかねて、兄の英吉は自分が勤めている船乗り業を進めた。
なんとか友人の白木副艦長のコネで弟の太一はこの船に乗れたのだ。
心配していたのは不良なら誰もが兼ね備えている『反発』である。リーダー格には常にケンカ腰の太一だったが、どぅやら中居艦長は気に入ったらしぃ。
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