第一章

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  車で一時間近く走り、東京の高層ビルに着いた。 「制服のままでいいの?」 僕はブレザーの襟を握りながら、父さんに聞いた。 「はは。お前、社交パーティーみたいな堅苦しいの想像しているだろう。ちゃうちゃう。その恰好で充分。  帰ってきたら感想を聞かせてくれよ。それが父さんの年に一度の楽しみだから」  僕は車を降り、ビルの入口に向かった。  振り返ると、父さんは車の中で、電話中だった。パーティー会場に父が先回りしてビックリさせる事はなさそうだ。 ビルの看板には、「シャカリサーチ本社」と書かれていた。
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