第一章

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 新しい家庭教師が、『モーニング娘。』の藤本美貴に似ていて、点数が上がったらディズニーランドでデートする約束をしていたそうだ。 「なあ、この後カラオケ行かねー。何人か呼んでさ。期末も終わったし」 翔はマイクを持つ仕草をした。 「わりぃ、この後予定あるんだ」 僕は断った。 「えっ、もしかしてデート。恵子ちゃんとヨリが戻ったのか」 「ちげーよ。父さんと待ち合わせしてるんだ」 僕は校門に立っている男を指差した。  父はアロハシャツにバミューダパンツをはいていた。やさしい目をした顔の父は、僕に気付いて手を振る。
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