「彼」

11/16
前へ
/78ページ
次へ
『私、ミルクティーはミルクティーでもホットじやなきゃ嫌なんだ。』 つい最近ぽろっとこぼした言葉。 夏にホットを飲むという行為は色々な意味で厳しい。 それを配慮した透の行動に、思わず頬が熱くなった。ミルクティーを飲むようになったのも透が関連するのだが、透は知らないだろう。 「顔赤いよ? …温度下げた方が良いかな。」 思い出し笑いならぬ『思い出し赤面』していた千早は、透に覗き込まれ狼狽した。 「だ、だいじょっ痛っ?!!」 舌に走った痛みに口に手をやる。 狼狽の余り舌を噛んでしまったのだ。 『情けない…っ!!』 恥ずかしさで泣ける。 すでに痛みで涙目だが。 千早は口に手をやったまま、透に大丈夫だと伝えようと顔を上げた。 そして硬直した。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

387人が本棚に入れています
本棚に追加