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  「昌浩殿」 「敏次殿!どうかしましたか?」 「出たな!このエセ陰陽師め、昌浩から離れろっ!」   今にも跳び蹴りしそうな物の怪である。 だが当の本人、敏次は物の怪が見えていないので、普通に話しを進めている。   「こんのぉ…」 『落ち着け、戯けが』 「な、勾離せーっ!」   ジタバタと暴れる物の怪を持ち上げ顕現した勾陣は、どうしたものかと息を吐く。   「断る。昌浩の邪魔をしてどうするんだお前は」 「む……邪魔などしていない!」   ……十分邪魔なのではないだろか、と六合は無表情の下で考える。 だが今の物の怪に言えば、火に油を注ぐ事になるのは目に見えているため、あくまで考えるだけで告げるような事はしない。  
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