悪夢の始まり

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検査結果は1、2時間ぐらいで分かると言われ、時間を潰す為、院内の喫茶店に入った。 この待っている時間が俺には苦痛でしかなかった。 それは寛解ではなくなって、再発していると心のどこかで思っている所があったからだと思う。 ある程度時間を潰し、再び、診察室に入った。 「鈴木さん。 今回のマルクの結果なんですが」 先生の表情が曇る・・・・ 再発の傾向なのか?そう思いながらも、異常が無い事を祈りながら、返事をした。 「はい」 「やはり、異常が見つかりまして、再度寛解治療をする必要があります」 ・・・再発か 「それは再発って事ですよね?」 「そうですね。 それでもう一度同じ治療法で実施し、寛解にします」 ・・・・何も言葉が出ない。 今まで治療はうまくいっていると思ったのに・・・ 「そうですか・・・」 「また、頑張りましょう」 やるしかないか・・・ 「はい。それと、今回治療して、また再発になったら、同じ事を繰り返すんですか?」 「もし、そうなった場合は骨髄移植を考えています。 ただ、今までの症例からみて、再発後の治療で完全寛解になる事が多いので、移植の必要は現段階で必要ないと思います。 まずは今日からの治療に専念しましょう」 「分かりました。これから、またよろしくお願いします」 移植・・・・・ 何となく、移植と聞いてそれは避けたいと思った。 この治療でうまくいって、再発しないでくれと祈るしかなかった。 この日から、また入院生活が始まった。 麻里のお母さんに連絡をして、入院する事を伝え、荷物を持ってきてもらう事にした。 迷惑かけっぱなしだな俺。 翌日。 今回もクリーンルームでの治療が開始された。 病室はまた一人だった。 でも、その方が気が楽だ。 そのあとは、同じ治療が行われた。 副作用が辛かったが、今回は精神的にもかなり辛かった。 俺の病気はちゃんと治るんだろうか? 逃げ腰になっていたのは間違いない。 ただ、ずっとそればかりを考える日々が続いていた。
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