ありふれた日常

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「Tシャツ一枚で大きな袋に入れてもらうって、どんだけ無理言ったんだよう。というか、俺のも買ってくれたの?」 「袋はまぁ~、いつもの事だから。透吾って、けっこうセンスがいいし、買おうか迷ったんだけど、たまには私の選んだ服も着て欲しいからね」 「センスいいか?まぁ~、気を使ってはいるけど。でも、服ありがとね。ちゃんと着るよ」 「うん!それに、透吾がブレス買ってくれたから、私も何か買ってあげたいなぁ~って思って」 ホントに麻里は気が利くなぁ~。 他の女なんか、目に入らないぐらい可愛いしって、ちょっと彼女自慢になってるかな。 それは彼女がいる奴なら当たり前か。 「そろそろ、帰ろっか?」 「そうだね。何か、久々に買い物して遊び疲れたかも」 「俺も遊び疲れた~」 「ねぇ~、帰りにクレープ食べようよ!」 「お!いいねぇ~~」 一階にあるクレープ屋でクレープを買ってのんびりと食べながら、お互いにブレスを眺めていた。 たまに重ねてみてはにやけながら。 それから、暫く休憩して、車に乗り込んだ。 帰りの車内は疲れた体を休めるかの様にお互い、無言でいた。 無言でも同じ空間で一緒に同じ時間を過ごしている俺達は幸せだった。 車内にはカーオーディオから流れる音と外から聞こえる音だけが響いていた。 ルームミラーを見ると、後ろの席には麻里が買った袋が積んである。 女の子って、やっぱ買い物好きなんだなと改めて思いながら、車を走らせていた。 途中、信号で止まる度に腕に付いているブレスを見ては一人にやけていた。 麻里は下を向き、俺と同じ様にブレスを見て、いじっていた。 俺もやっぱり、遊び疲れたのか体が重いような感じがした。 この時は薬が効いて、ただの遊び疲れだと思っていた。 ふと、麻里が口を開いた。 「透吾、明日も休みだよね?今日、泊まっていい? 何か、疲れたし。透吾も今日は私送るの面倒でしょ?」 「うん。ちょっとダルいかも。でも、麻里は明日仕事だったよね?」 「うん。でも、いつもより早く起きれば全然問題ないし。もちろん、親に電話するけどね」 「了解!じゃあ、俺んち向かうね~」
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