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「うん。何か、ダルいのが中々抜けないみたい。薬は毎日飲んでるんだけど、効いてないのかな?」
「市販の薬やめれば?病院行って、ちゃんと薬を処方してもらった方がいいよ」
「そうだね。ちょっと様子見て、治らなかったら行くよ」
「もう。早く行けばいいのに。ちょっと様子見るからって言って、今より悪化しても知らないからね!
それにしたって、最近体調崩してるのが多いのに」
「大丈夫。どうせ、ただの風邪だから」
それは当たり前の会話だった。
体調が悪い俺を麻里が気遣う。
それに俺がいつもの事だからと言わんばかりに話す。
たまには麻里の言う通りにするか。
「じゃあ。今度、仕事が早く終わった時にでも、行って来るよ。
面倒だけど」
「面倒とか言わないの!
行かないで悪化したら看病してあげないからね。
むしろ、放置するから!」
「分かったよ。ちゃんと行きます」
「分かればよろしい。
それと調子良くなるまでお酒とタバコやめた方がいいからね」
「えぇ。それは無理!
酒は我慢出来るけど、タバコはキツイよ」
酒とタバコをやめろと言った麻里はもちろん、俺を心配してくれているんだろうと思っていたが、さすがの俺もタバコだけは許してもらおうと寂しげな表情で言った。
「そう言うと思った。
どうせ吸うなら、せめて1ミリの軽いタバコにしてよね。
それでも変わりはないけど、吸わないでイライラされるよりマシだし」
「分かりました・・・」
よく俺の事を理解してるな。
そりゃそうだよな。
こんなに長くいるのに逆に分からない事がある方が不思議だよな。
麻里には嘘ついてもバレるし・・・しょうがないな。
渋々、了解するしかなかった。
「そうだ!来週の日曜日はうちに来てね。
親が透吾と一緒にご飯食べたいって言ってたから。何かいつもの如く、透吾君の好きな物作るって張り切ってたよ」
「マジで?麻里の親、良い人で嫌いじゃないんだけど、『あの話』をされると思うとちょっと逃げ出したいかも」
「まぁ。私は一人娘だしね。『あの話』をしてくるって事は二人の事を認めてくれてるって事だから、感謝しなきゃだよ。そうじゃなかったら、うちの親とは仲良くなってないでしょ?」
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