第1章 バイオリン少女とテニス部レギュラー

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元々、麻羽はクラスの中の女子とは喋らない方。 そればかりか、嫌味を言われる事もしばしば。 「此処じゃあ何だから、人気がない所へ行かへん?」 小塚が麻羽に言うと、より一層周りの女子達が騒ぎだした。 小塚は麻羽の手を掴み廊下へ出た。 「あ……」 山木が二人の後を追って着いていく。 「あ、まってぇや小塚」 教室に残された女子達は、その小塚と麻羽の繋がっていた手を睨んでいた。 「用って?」 人気の少ない廊下で麻羽が尋ねる。 「ん~…そんな、たいした用じゃないんやけど」 山木が目尻辺りを掻きながら言った。 「大会の始まる時間が、いつもより一時間遅くなった、と報せの用だけや」 小塚が麻羽に言う。
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