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「うん、行ってるで? ほんま、小塚君心配性やなぁ」
明るい声を出す麻羽。
『しょうがないやろ…麻羽はほんまの、妹みたいやしな』
向こうから笑いながら言う声が聞こえた。
妹……。
妹……。
麻羽は頭の中で連呼しだした。戸惑ったらまた、小塚君に心配かける、と思ったらしく麻羽は返事した。
「ハハハッ、なら、小塚君はウチの兄ちゃんみたい―!?」
『麻羽ー?』
麻羽は受話器を落としそうになる。それはリビングの入口に義姉がこちらをうかがっていたからだ。
「あ、ウチ、ちょい用思い出した!また明日なっ」
慌てて言う麻羽に小塚は返事をして、電話をきる。
義姉は誰? と聞いてきた。
「こ、……小塚君」
その場で下を向きながら義姉に言う。義姉は不愉快そうにまた、部屋へ戻っていった。
脱力で麻羽は床へペタンと腰をおろした。
電話を少し名残惜しく見た麻羽も部屋へ戻った。
明日大会見に行くんやから…はよ寝んと。
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