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十月のある日、学校で進路について担任と面談があった。
とりあえず自分の成績に見合った短大に願書を出しておいたので、受験までの最終的な打ち合わせみたいなものだ。
この数ヶ月あたしなりに考えてはみたが、焦ってみてもそう簡単にやりたいことなど見つからないし、フリーターやニートになるのは絶対に嫌だし、かといって適当な会社に就職して『こんなんでいいか』的な人生プランの最短距離を進むより、短大生としての生活を楽しみながら、もう少し自分がどうしたいのか考えてみるのも悪くないと思った。
先生はそんなあたしの本心を知らずに、親身になって受験のアドバイスをくれた。
あたしは先生に対して少し後ろめたい気持ちになったが、面談が終わってしまえばそんな思いもすぐに消えてしまった。
結局こうしてあたしは今まで、何かに真剣に取り組んだり、ものを考えたりしたことがなかったような気がした。
改めてそれに気がついたあたしは、なんだか自分がすごく情けなく思えた。
あたしはいつもよりも暗い気持ちで学校を出た。
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