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人影へと辿り着くまでに、秀司は何度も転び、着ていたスーツは泥だらけになり、所々破れながら、何とか人影へと辿り着いた。
秀司は、人影へと辿り着き、そこで始めて“有り得ない”状態を目撃している事に気が付いた。
「女の子が…光ってる?」
輝いていたのは――『女の子自身』だったのだ。
何度も目を擦ったり、頬をつねったりしては光っている女の子へと目を向けたが…。
「何度見ても、光ってる」
秀司は、マジマジと光っている女の子を見つめた。
…可愛いな。
整った顔立ち、透き通るような白い肌、銀色に輝く長い髪。
膝までしかない黒のミニスカートに、黒のノースリーブのロングシャツからのぞく細い手・足が華奢な女の子だという印象を与える。
「綺麗と言うべきか…、可愛いと言うべきか…、って!傷だらけじゃないか!?」
今まで自分の見ている光景が信じられず、頭が受け付け無かったものが、女の子の顔を見て落ち着いたのか、ようやく認識出来る様になった。
秀司は、急いで女の子の体を抱き上げた。
…軽いな。
女の子の体が軽い事に驚きながら、女の子の顔を見てみる。
「随分と顔色悪いな。
それに、この傷…腕や足の傷は特に酷いな。
服も…随分と破れてる。
何があったんだろう?」
色々と気になる事はあったが、とにかく今は女の子の傷を治すのが先だと思った秀司は、そのまま女の子を担いで、その場を後にした。
女の子を担いで、森の中を歩く事、約1時間。
「…しまった。
俺は、自殺するつもりでこの森に入ったんだった…。
で…出口が、分からん」
秀司は、汗だくになりながら森の中をさ迷っていた。
女の子が光っているお陰で、足下や全体の景色が分かるのは有難い。
だが、いくら軽い女の子といっても、1時間以上も担いだままで移動していれば息が上がるし、森の中という慣れない場所での移動も、秀司には辛い。
…早く、この森から出て、この女の子の手当てをしないと。
何で自殺なんかを考えたんだろうと、今更ながら自分に憤慨しつつ、秀司は歩き続けた。
結局、秀司が車に辿り着いたのは、更に3時間後の事だった。
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