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少女を車に乗せて、四ッ谷峠から自宅マンションへと向かっている途中で、秀司はある事に気が付いた。
「家に連れて行くより、病院に連れて行った方が良いんじゃないか?」
運転しつつ、助手席の少女をチラッと見て、秀司は直ぐ様病院を探そうと考えたが、車内で無機質に輝く時計が深夜を告げているのを見て、無理だと諦めた。
「第一、輝く女の子なんて…、診てくれるのか?」
診てくれ無いのではないかと心配した秀司は、取り敢えず車をコンビニの駐車場へと停めて、少女の脈や呼吸を調べる事にした。
思いの外軟らかい腕と、甘い香りにドキドキしながら脈を測ると、脈もシッカリしていたし、呼吸も落ち着いていた。
「これなら…、家で手当てしてから、明日病院に連れて行っても大丈夫かな。
………ん?
気のせいかな?
何か、最初に見た時より傷が塞がってる様な?」
秀司が四ッ谷峠で少女を見つけた時は、手足の傷が特に酷かった。
だが、その時に見た傷が幾分小さくなっているように感じたのだが、秀司は気のせいだろうと、軽く首を振って違和感を誤魔化し、マンションへと向かって車を発進させた。
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