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「さて、綺麗になったところで本題だ」
つなよしは着せられた服の、自分の腕より遥かに長い袖をしきりに気にしながらも、こくりと頷いた。
「母親は…、つなよしのお母さんは、今どこにいるの」
やっぱり首を横に振るだけで、話すことをしようとはしない。ただ、母親のことを問いた時はいつも、どこか悲しげな表情を浮かべるのだ。
ひばりはこの子の表情を見て、悟ってやる他無かった。
「おいで」
そう言って抱き寄せると、我慢仕切れなくなったのかたちまち泣き出し、この日つなよしが泣きやむことは無かった。
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