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心外だと言わんばかりに怒鳴るヒロ。
ヒューイはそんなヒロの肩に手を置き、首をゆっくりと大きく横に振りながら優しく呟く。
「ヒロ……これから出会いなんていくらでもある……もう何も考えるな。明日を信じて生きるんだ」
「だから違ぁぁぁう!!こんな泣き虫の鼻垂れランなんか好きになるかぁぁ!!」
思わずそう言った瞬間ヒロはしまった、と言うような顔をして左手で口を押さえた。
「うわぁぁぁん!!うち鼻垂れやないもん!!ヒロちゃんなんか、階段から事故に見せかけて突き落として惜しい人を亡くしましたって言いながら後日墓の前でほくそ笑んでやるもんねーー!!!」
……この女具体的過ぎるな……
泣いているのに綿密な計画を立てる少女に内心で戦慄を覚えたように少女を見据えるヒューイ。
「……すいません絶世の美少女のランちゃん」
ヒロはランにそう言った後小声で辛そうにヒューイに耳打ちする。
「……男爵……マジでただの親戚だから……」
「ああ……なんとなく分かった」
ヒロ……なんか苦労してそうだな……ハハ。
「男爵……ランは泣き虫でさ。泣き出すと確実に一時間は泣き止まない」
一時間!?後四十分位あるんじゃないか!?
「ヒロ……じゃあな」
ヒロの伝えた事実に耐え切れなかったのか、右手を挙げ直ぐさま去ろうとするヒューイ。
「男爵!?いや待ってくれ!薬塗ってやってくれよ」
「……仕方ないなぁ」
嫌そうな顔をしつつも無視できない様子で、ヒューイは泣きじゃくり両手で顔を覆う少女に向かい合う。
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