お祭り男爵とお祭り女王のお話

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麺が油でべったりねっちょりとして伸びきっていてヘラで切り過ぎてベビースターラーメンの如く細かくなり過ぎている、しかもソースをけちったのか味が薄く油がさらに引き立ち、まるで僕の味覚を壊さんとばかりに踊り狂うかのようだ。 つまり…… 「……マズイ」 あまりのまずさのためか顔をしかめ焼きそばを強引に飲みこんだ。 そんな予想通りの姿を見たランはほら見ろとばかりの満面の笑みで言う。 「うちの言う通りやろ?」 ほとんどない胸を張り自信満々の様子である。 なんか悔しいんだけど…… 「確かにな……けどいくらマズくてもマズイって言ったら誰だって怒るから気をつけろよ?」 「うん!」 「それにお前これより旨い焼きそば作れるのか?実力がないのに偉そうなこというのはダメな奴のすることだ」 その言葉にはランは不満気に頬を膨らませる。 「うち料理得意言うたやん。こんな焼きそばなんて目じゃないもん……そうや!今度会ったら食べさせたるわぁ」 名案を思い付いたとばかりに満面の笑みを零しながら言ってくる。 今度……か。俺はまたここに来れるのかな……多分ヴェノア王国との最後の攻防ががそう遠くない内にあるだろうからな……俺は生き残れるのか……? 「どないしたぁん……うちにもう会いたないんかなぁ……ぐすっ」 嫌がられたと思い悲しそうなり、今すぐにでも泣き出しそうな雰囲気だ。 う…… なんで俺はこんな初対面の奴の事で心を乱してるんだろう……エスラの赤い悪魔と呼ばれてるこの俺が…… 「ふぇぇぇん……男爵ぅぅ……嫌いにならんとってぇぇぇ……ぅぅ……」 思考中の為無言だったせいか、ついに泣き出してしまったラン。 たく……仕方ない奴だな…… そう思いながらもなぜか笑みが零れてくるヒューイ。 俺の事で悲しんでくれる奴……両親以外で初めてかもな……
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