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『ヒューイよ、喜べ。貴様に相応しい任務をやろうではないか』
白髪混じりの鋭い目つきをした体格のいい男がヒューイに向かって嫌らしくそう言い放った。
甲冑に身を包み隙の無い訓練された足取りは、戦に揉まれてきた年季を感じさせる。
『なんだバルバス隊長さん……俺暇じゃないんだけどな……』
そう言うとバルバスは顔を怒らせ睨み付けてきた。
訓練されていない者ならその威圧感に震え上がるだろう眼光だ。
『言葉遣いに気をつけろ薄汚い平民上がり風情がっ……!近々隊長になるからと言って調子に乗るなよ……!?』
その瞳からは嫉妬と憎しみ、侮蔑等の負の感情が溢れ出てくるのがありありと読み取れる。
こいつは……俺を心から嫌っている。王の許可が出れば喜んで俺を殺すだろうな……まあ、この親父ごときに殺されるはずもないが。
『敬語を使え』
短いが低く冷たい声で言う。今にも切り掛かってきそうな剣幕だ。
おっさん、血管切れるぞ?こいつの頭の中では俺は何回殺されているんだろうな……しかし俺みたいなガキが隊長か……実感湧かないな。
『任務とはなんでしょうか?バルバス隊長殿』
明らかに面倒な様子でヒューイは敬語を使った。しかし、その様子に満足した様子のバルバス。
『ふん……それはだな――――』
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