お祭り男爵とお祭り女王のお話

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たく……バルバスの嫌がらせにも困ったもんだ…… ヒューイは隊長就任前にこの時期に一斉に行われる、エスラ王国領の各村町の祭の警護を立派に勤めてみせろと命令された。 しかも内密に警護する為剣も取り上げられたしなぁ…… そりゃ武器なしでも強いけど殴ると拳が痛くなるし…… 騎士が警護しているとアピールした方が犯罪発生率も減るはずであるが。 まあ、確実に嫌がらせだよな…… このヒューイのまず有り得ない異例の若さでの隊長就任は、妬みや嫉妬、蔑みが生まれるのは必然ではあるのだが。 まあ、今日この祭で終わりだし、サボって祭楽しんでるからいいけどね…… ヒューイは各祭を楽しみ、驚異的な身体能力のおかげでお祭り男爵と呼ばれてしまう程の強者お祭リストになってしまっている。 しかし上には上がいるようで、先日行った村でお祭り大王と呼ばれているケンちゃんには金魚すくい対決で負けてしまった。 そんなヒューイの格好は浴衣に先程貰ったお面を頭に乗せ、綿菓子を美味しそうに食べている。 どう見ても近所の子供が祭を楽しんでいる様にしか見えない。 戦うことしかしてこなかったヒューイにとって初めての祭は楽しくてしょうがないのであるが。 さっきのおっちゃんはいい人だったなぁ…… 俺がエスラの赤い悪魔だと知ってもあのままでいてくれるかな…… 無理か……やっぱり恐いよな…… 国の為に仕方ないとは言っても何百人も人を殺してるわけだし…… 『人殺し』 ヒューイは戦争に参加することはどう言うことなのか、頭では分かってはいるつもりではいたが、まだ少年に過ぎない彼の心に重くのしかかっていた。 力があれば全てを守れる……そう信じてきたけど本当に正しいのかな…… 肉体的だけではなく、心も強くならなければいけないんだな…… などと思考していると突然何やら柄の悪い男の怒鳴り声が聞こえた。
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