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メンソールタバコを箱から取り出す度に隣の男がライターを差し出し火を点してくる。
いやらしくにやついた顔であたしを見つめながら。
知らない女が、耳かきですくった白い粉をカプセルに時々詰めている。
かなり少量の5meo…
性的快楽を増幅させる媚薬。
あたしはやらない。
ドラッグは廃人がやるものだからとか、体裁は割とかっこ良くつくろっているものの、ただ単純に怖いだけだったりする。
依存してしまうのが分かっているから怖い。
隣の男が太ももを触ってきた。
コイツも5meoをキメてるようだ。
男の手のひらが遠慮なくゆっくりとあたしの身体を這っていく。
ニヤニヤと上気した表情と荒い息づかいが何とも不快でたまらない。
そんな様子を見た別の男が此方へ近付いてくる。
今夜は何人の相手をするのだろう。
あたしはパーティーのサクラ。
相応の金を受け取っているので、場をシラケさせる訳にはいかない。
逆に盛り上げなくてはならないというプレッシャーを背負っていたりする。
仰向けに押し倒されたあたしの目に、大きな夜空が映った。
街の灯りとスモッグで汚れた薄明るいその夜空を、ピカピカと点滅する電灯を付けたセスナが飛んでいた。
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