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ふと、少女の右手に目をやる。
古めいた茶色のギターケース。
「もしかしておまえって・・・ストリートミュージシャン?」
「おまえじゃなくて『あいり』・・・山田あいり」
少女・・・いや、あいりはそういうと、地面にギターケースを大事そうに下ろして蓋をあけた。
中にはやはりすこし古いが、ものは良さそうなアコースティックギターがはいっていた。
「へぇ・・・いいギターじゃん」
素直に感想をのべる。
ギターについては詳しくはない(なんせ音楽は常に2だった)が、大切に使われているのがはた目にもわかる。
「へぇ・・・あんたなんかにもわかるんだ」
「あんたじゃない・・・『弥』、須藤弥」
さきほどのあいりを真似して名乗る。
「ワタルさんね、んで、聞いてくの?私の歌・・・じゃないんだったら消えて、邪魔だから」
・・・ほんとに口がわるいなぁ・・・最近の若者は・・・。
「・・・お前って・・・」「あいり」
「・・・あいりっていくつだよ」
「あんたに関係あるわけ?」
「あんたじゃくて、弥」
「・・・17」
「俺は21だ、なんだまだガキだなあいりは」
「・・・はぁ、何が言いたいわけ?」
「もう少し言葉には気を付けろってこと、年上は敬え」
「・・・歌、聞いてくの?結局」
そこまでいわれちゃあ聞いていくしかない。
生意気娘の実力をみてやろうではないか。
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