第二章:キミノウタゴエ

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ふと、少女の右手に目をやる。 古めいた茶色のギターケース。 「もしかしておまえって・・・ストリートミュージシャン?」 「おまえじゃなくて『あいり』・・・山田あいり」 少女・・・いや、あいりはそういうと、地面にギターケースを大事そうに下ろして蓋をあけた。 中にはやはりすこし古いが、ものは良さそうなアコースティックギターがはいっていた。 「へぇ・・・いいギターじゃん」 素直に感想をのべる。 ギターについては詳しくはない(なんせ音楽は常に2だった)が、大切に使われているのがはた目にもわかる。 「へぇ・・・あんたなんかにもわかるんだ」 「あんたじゃない・・・『弥』、須藤弥」 さきほどのあいりを真似して名乗る。 「ワタルさんね、んで、聞いてくの?私の歌・・・じゃないんだったら消えて、邪魔だから」 ・・・ほんとに口がわるいなぁ・・・最近の若者は・・・。 「・・・お前って・・・」「あいり」 「・・・あいりっていくつだよ」 「あんたに関係あるわけ?」 「あんたじゃくて、弥」 「・・・17」 「俺は21だ、なんだまだガキだなあいりは」 「・・・はぁ、何が言いたいわけ?」 「もう少し言葉には気を付けろってこと、年上は敬え」 「・・・歌、聞いてくの?結局」 そこまでいわれちゃあ聞いていくしかない。 生意気娘の実力をみてやろうではないか。
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