第一章:サクラチル

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四月・・・新しい季節がまたやって来た。 憂鬱でしかたない。 たかが春になったからというだけで、新入生を歓迎したり、新しい時間割りをつくったり、今年からはゼミにも顔を出さなくてはいけない・・・。 全て面倒だ。 「ワタルー」 俺を呼ぶ声がする。 俺の名前は、須藤弥・・・しがない大学新三年生。 選考は古文。 「シュウジ・・・」 俺を大声で呼んでいたのは、三上周治・・・幼馴染みで悪友。大学生でも選考が同じで、ゼミも同じ。 腐れ縁もここに極めりだ。「アマテラスがこれから集まれだって~!!なんかゼミの飲み会とかするらしい」 アマテラス・・・ゼミの担当の天野先生のあだ名だ。 ・・・ようするに禿げちゃびん。 「わーた、すぐいくわ~」俺は周治のもとへ駆け出した。 ・・・内心はだるかった。 なんだか最近すべてがだるい・・・。 面倒だ。 なぜだろう・・・。
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