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事故紹介の部
檜山京介はその日、大学のキャンパス内での待ち合わせの時間に、かなり大幅に遅れていた。
着替えて、ろくに身支度もしない内に部屋を飛び出る。
家から大学までは、公園内を通るのが一番の近道だったので、京介は遅刻者の例に漏れずにそこを通った。
変わらない、平和な公園内の様子を横目に見ながら、京介は走る→。走る→。走る→。
と、ふとこんな情景が京介の目に飛び込んできた。
知り合いの子供。一人でボール遊びをしている。ボールを上に投げ、落ちた所を追いかけて走る。それを繰り返していた。
嫌な予感が彼を襲う。
ボールが子供の手を離れる。ポォ~ン、ポォ~ン…
そのボールは…道路に出てしまった。子供も当然ながらそれを追いかける。
危ない!
彼は無意識にそちらに→駆け出していた。
道路の真ん中の子供を突き飛ばす。
京介が最後に見たのは、膝小僧を怪我して泣いている子供と、そしてトラックの『顔』だった
その二時間後、キャンパス内の一室で、マリオとカヤとミナはラジオで檜山が事故に遭った事を、そして亡くなった事を知った
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