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事件の部
翌日、檜山キョースケがいない中でも、彼らにはある仕事があった。
それは何かと言うと、疑う事無かれ、なんと探偵なのである。
この『キャンパス探偵』達は、その意外な実力で、日々凶悪犯罪と戦っている、わけでは当然なく、地味な仕事をこなしているのだった。
今日もきた依頼は『迷子の猫探し』であった
「迷子の子猫ちゃんは、犬のお巡りさんに頼むべきだよ」
と、これはカヤ
「文句を言う前に働け。副業とはいえ、商売は商売だ」
と、これはマリオ
「ァフ…」
で、やはりミナは眠たそうだ
「ああぁ、キョースケ君がいればなぁ…」
キョースケは仲間内でも信頼の厚い『猫探偵』だった。猫のことならなんでもござれ、とは彼の言だ
「言うな。言って檜山が戻ってくるなら、何回だって言ってやるさ」
マリオが立ち上がり、グラサンをかける
「行くぞ、カヤ。ミナは…」
「…💤」
ミナは寝ていた。
この事件は猫探し、以上のものに発展するので、ここいらで依頼人の紹介もしておこう。
今日の午前、キャンパス内の一室がノックされた。
「はい、ただいま~♪」
接客は人受けの良いカヤがすることになっている。
扉を開いて、カヤは驚いた。外に立っていたのは、蒼白の、しかし明らかな美人だったからだ
「あ…あの~、何かご用でしょうか?」
何も言わずにこちらを見ていた美人は、ゆっくりと動き出す
「はい…私の猫を探して貰いたいのです…」
その美人の名前は『穐山薫(あきやまかおる)』といった
どうやら家の猫がいなくなったので、カヤ達に探して貰いたいそうなのだ。
「どうでしょう…協力してくれますか…」
穐山薫は雪女のごとく冷たい声をしていた。感情の籠りが、一切感じられない。
こんな人初めてだ、とカヤは思ったが
「はい、おまかせあれ♪」
これはビジネスだもんね、と諦める。人を選んでいては商売にならないのだ、特に探偵業は。
そうしたわけで、彼らは今、穐山家を訪れていた。
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