玄関

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『お帰りなさいませ、兄様!!』   いつもの日課。 ルキアは白哉が屋敷に帰ると いつもと同じように言った。 愛しい兄の為に、 どんなに疲れていても笑顔で。   いつも白哉はルキアと一瞬目を合わせて自室へ行ってしまうが、 今日はルキアの前で立ち止まった。   『…兄様?』   不思議そうにルキアが呟くと、白哉は袖から小さい紙袋を取り出してルキアに渡した。   『恋次から、お前が白玉が好きだと聞いてな』   『ありがとうございます!しかし、頂いてよろしいのですか?』   申し訳なさそうにおずおずと質問する妹を見て、 白哉は優しい笑顔で答えた。   『当たり前だ。お前の為に買ってきたものだからな』   そして、白哉は自室へと向かって行った。   ルキアは、渡された紙袋を白哉が消えたのを確認してから静かに開けた。 そこには、鯛焼きと白玉団子が入っていた。 ささやかな兄の愛情に、ルキアは泣きそうな位嬉しくなった。   『ありがとうございます…白哉兄様…』   ルキアは白哉の自室の方向に頭を下げた。   ……これからも、愛していてください…   頭をあげると、ルキアは本当に嬉しそうな顔で、白哉の自室へと歩き始めた。
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