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公園を抜けると彼は
走り出していた。
偶然にしては連続する数字に
すっかり気味が悪くなって
来ていた。
カジノのロッカールームに
辿り着くとウエイターの
制服に着替える‥
まだ2時間も早い。
『よう!エリオット。
どうした?こんなに早く‥』
ブラックジャックの
ディーラーであるケビンが
声を掛けて来た。
血の気の多い彼には
極力近付きたくはない。
『あぁ、何でもない‥』
『そうか?
顔色が冴えねぇぞ‥』
何故かエリオットは
苛々した気持ちを抑える
事が出来なかった。
『寝不足なだけだ。
大した事じゃない!』
『なんだ?
何、苛ついてんだ?』
『関係無いだろ!
いいから放っておいてくれ!』
その一言にケビンが
エリオットの胸ぐらを
掴み、彼をロッカーの扉に
叩きつけた。
『てめぇ、人が心配して
やってんだ口のきき方に
気を付けろ!』
『ケビン‥済まない‥』
両手を肩の辺りまで挙げ、
降参の意思を示す‥
熱くなりやすいケビンは
胸ぐらを掴んでいた手を
乱暴に押し戻し、
『フッ‥坊っちゃん育ちが!』
捨て台詞を残し部屋から
出て行った。
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