76人が本棚に入れています
本棚に追加
繁華街のファミレスは深夜にも拘わらず、人が多い。
遊び回った若者の群れ、
飲み会を終えたサラリーマンの二次会、
ただフラッと入ってくる客……
今日が土曜日ということもあってか、人が途切れることがない。
千秋が案内された場所はカウンター。
厨房が近いその場所は、中の従業員達の姿や話し声がチラチラと目に入ってくる。
テーブル席は多人数で訪れる者達で占領されており、空く気配はない。
むしろ、こんな深夜に一人で訪れる客こそが珍しい。
事実、カウンターに立ち並ぶ椅子に座るのは千秋一人だけだった。
時計を見遣ると、深夜の3時を回っていた。
(……今日も収穫なしか)
カウンター備え付けの灰皿に手を伸ばし、もう片方の手でワイシャツの胸ポケットに入っているシガレットケースからタバコを1本取り出した。
最初のコメントを投稿しよう!