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見れば、青年の手にはどこにでも売ってそうな100円ライターが握られていた。
「……あ、ああ。
ありがとう」
千秋はつい、いつもの調子でタバコを口にくわえ、火を点けられるのを待った。
「………えっと…」
目の前の青年はどうしたらよいか解らないのか、手を止めている。
(おっと…、しまった)
いつもの調子―――芸能界の打ち上げなどの付き合いで行くクラブやバーでは女性店員に火を点けられるパターンが多い…
そのいつもの癖で、目の前の青年にも同じことを求めていたことに気付いた。
「ああ、ごめんね。
つい……癖でね。
ライター貸してくれる?
自分で点けるよ」
そう言ってライターを貰おうと手を延ばした。
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