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「ちょっと待っててよ。水を貰ってくるから……」
パーティー会場の隅、壁際に身体を預けながら……千秋は自分の為に水を取りに走る、あの時の青年を目で追った。
行く先々で、シュンを呼ぶ声が次々とかかる。
それを目で追いながら、千秋はタバコを1本取り出した。
「……あ」
取り出した勢いで、愛用のジッポが床に転がった。
それを千秋が拾い上げるより早く、ジッポはある人物により拾われた。
「……火が欲しいんだよね?」
あの時、手に入れたかったものは今、ここにある。
そして、その選択が間違っていなかったということも今ならはっきりと言えるだろう。
「……うん、頼むよ」
あの時、火を点けられたのはタバコじゃない……
僕の君に対する情熱かもしれないよ、なんて臭い台詞を吐きそうになるのをグッと喉元に留めつつ……
「さー、これからもっともっと忙しくなるからね!
シュン、地上波ジャックだぁーーーっ」
そう、これからも木村千秋の陰謀は続いていく。
アイドルグループ・ジェネシスの花形アイドルであるシュンの華々しい未来へと―――――。
END
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