76人が本棚に入れています
本棚に追加
「ダメだ、今回もパッとするコはいない……!」
事務机に大量に積み重ねられた履歴書、
灰皿には、タバコの吸い殻がこんもり山を作っている。
男は右手に持っていた専用のマグカップに注いだブラックコーヒーを飲み干すと、自身が座っていた事務椅子からガタッと立ち上がり、机の上に散乱している『用済み』の履歴書の山をゴミ箱へとぶちまけた。
「いつになく荒れてますね…、あなたらしくない。いつものようにパパッと決断されてはいかがです?」
男の隣の席の者が声を掛けた。
「……いや、今回だけはそうもいかないよ。
我が社【ATC(アイドル養成コンサルティング)】の命運が掛かったこの一大プロジェクトの主役を探すんだからね……!」
最初のコメントを投稿しよう!