午前10時 沖縄方面

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志度、それは軟骨じゃなくて輪ゴムだ噛み切れないぞ――心視、辛子明太子とかずのこは微妙にっというか大部違うぞ、でも両方食えるか……あ、駄目だ心視は辛いものが―― 「はっ」 いけね寝てた。記憶的に朝礼が終わった辺りから居眠りをしてしまったらしい。なにせ、部隊長が出てきたところから何も覚えていない 「比野って本当に寝るの好きだな」 「目覚め方が最悪だったからさ……腹減ってるし」 「それは満腹だった場合の言葉じゃないか?」 横の席に座っていた志度が、起こしてくれればいいだろうに、居眠りしていた僕の脇腹を肘で小突いた。同時にそこで腹からグゥ~と異音 ……食パン数口で保せられるほど、僕の胃袋は低燃費にはできていない 「うん、ほら僕は普通じゃないからな」 「小隊の中じゃ一番まともですって顔してる癖に良く言うぜ寝ぼすけめ」 と志度が言うが、なんだかんだ言ってこいつも眠いようで、会話の端々で猫のように顔をゴシゴシ擦っている (しかし……剛の視線が熱いな) あの生真面目筋肉は、たかが朝礼という名の部隊長の世間話でも微動だにせず直立して聞くほどの規律人間だ。そして、上下関係はお互いにまったく感じていないが、仕事上は剛は僕の上官に当たる 真面目人間からすれば、部下の不真面目な態度は許容できないのだろう (でもね剛、真面目に勤務してるのにこう言っちゃ難なんだろうけど……) 剛がこっち見てるその後ろで、副官に当たる宇佐美さんが周りの自衛官から消しゴムを受け取っては折りたたみナイフで彫刻作ってるんだよ……!
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