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「というかちゃんと話聞いてるのが剛さんだけってのもなんか切ないな」
「剛は部隊長のこと慕ってるからな」
周りを見渡せば、剛以外の面子も、席の後ろ側では小声で談笑、前列の方からは聞えないが明らかに舟を漕いでいる自衛官が数人いる
ちなみに、部隊長はすでに諦めているとのことで、よほど機嫌が悪くない限りは注意すらしない。そんなんなら毎朝十分以上もかけて朝礼なんて設けるなよこの髭親父、と毎回心の中で思っている
「んでつまりだ、グリセリンとは『リンリロリンリロ』……すまん、ちょっと電話」
そう言ってよくわからない爆発物に関する講座を中断し、会議室から出て行く髭部隊長
「電話の相手、声がこっちに漏れるくらい切羽詰ってたな……まぁ、いつもいつもあの着信音が鳴るときは緊急事態ってなるから予想はつくけど」
「緊急事態って突拍子もなく突然くるから緊急なんだぜ?」
いや、わけわからん
………
……
…
「あー、ちょっと緊急事態が発生したので朝の朝礼はこれで終了とする。各自、今日も元気に勤務に励むように、以上――と、その前に呼び出しがある」
呼び出しがある――と言っているにも関わらず、僕ら五人を除いた自衛官達はようやく終わったとばかりに続々と席を立ち、自身の持ち場へと移動していく
その喧騒の中、部隊長はちょいちょいとこちらに向けて手招きした
途端、僕の第六感にティンと来た。これは、簡単に言えば嫌な予感――
「特務隊の五人だけこの後ミーティングルームに来ること……お仕事があります。ちなみに厄介事だ」
やっぱりだよ(笑)
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