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そうだ。それのせいで……
突然、がこんっ! とコクピットが激しく揺れた。ぽけ~と開けていた口が仇となり
「っ?!……」
舌を噛んだ――これは痛い、痛すぎる。僕は生涯、舌を噛んで自決することだけは絶対しないと決めた。今
『何やってる』
「舌噛んでる……」
『そうか……目標を視認したぞ、確認しろ』
スルーされた。いや口を間抜けのように開けていた自分に非があるのだが
(……剛冷たい)
年上の同僚に心の中で文句をたれつつ。口元を抑えながらモニターを見る――木々の合間を抜けるように輸送トラックと、ずんぐりした護衛のAMWが三機が駆け足で並走しているのが映る
『もう少ししたら動くぞ。俺が足を止める、乗員の始末は任せる』
「了解……てあれ殺傷許可出てるよね? 勧告はいるかな?」
そんなこと言いながらも職務真っ当の為、機体の火器選択項目から腕部内蔵の電子兵装破壊用のスタンガン(今時の車両は電気で動くのである。地球を大切に)と対人機銃を選択する
『トラックへの勧告はしなくていい。非武装らしいから、その気があれば近づいた時点で降伏するだろう……しなかった場合は、お前に任せる』
剛が返事した直後、今の話を聞いたかのように敵機の頭部がこちらを向いた
(気付かれた……?)
『ちっ、耳が良いのがいるらしいな……お前は側面からトラックの方へ向かえ』
「剛はどうするの?」
『ふん……無論――』
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