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コンテナと機体の距離を取りつつモニターを睨む――丁度ひしゃげたコンテナの隙間から殺気を放っているそれが、密林に足を踏み降ろす
全体的にスマートなデザイン、だが決して弱々しい感じがしない神像を彷彿とさせる機体最新型試作機Jk-9――ペットネーム「キルクルス」が姿を現した
「……ええっと」
とりあえず、できるだけ冷静に外部スピーカーのスイッチを入れる
交渉開始ッッ
『そこのテロリストへ告ぐ! わかっていると思うが自衛隊だ! こちらには殺傷の許可が降りている! おとなしく投降すれば手荒な事はしない! 繰り返――』
返事はこちらに向けられた高振動ナイフだった。無言で構えられたそれが「やれるものならやってみろ」と言わんばかりにヴヴヴヴと鳴り響く
交渉決裂ッッ
「……いやーん」
――この状況は地味にヤバい。思わず地声で変な声を出すくらいヤバい。緊迫感がない? そんなことはない
こちらはレーダーの故障に右腕がない為とてもまともに戦える状態ではない。これが普通のテロリスト処理の作戦なら撤退しても文句は言われないくらいだ
しかし、どのくらいかは解らないが基本的な性能ではむこうに上の新型である。このままテロリストの手に渡ったら大変なことになる
「さぁ……どうする?」
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