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「――はっ」
殺す気を察知して、僕は上半身だけ跳ね起こした。薄く黄ばんだ壁と、無人のベッド群が見える
「救護室か……で」
一人でに頷き、殺気の発信源へと振り向く、そこにはスパナを振り上げた姿勢で固まっている作業服姿の女が――
「……おはようございます」
「はい、こんばんは」
挨拶してきた。相槌を打つと、惜しかったと言わんばかりに舌打ちをして、トコトコと部屋から出て行った。――あれ、もしかして危なかった? 駄作終了の危機だったのか
御愛読有難うございました
それは置いといて
(確かJK-9とやり合ってやられて、それで……)
幾許かのシンキングタイムを経て、まだ少し痛む頭で気絶すれ前のことを思い出して行く
「……うわっ、情けなっ」
気を失うまでで一番新しい記憶を引っ張り出すことに成功した。どーんと羞恥心に襲われ、つい口に出してしまう
「ぁー……」
――情けない、我ながら天晴なほどに情けない。今時のヘタレ主人公だってこんな悲しい殺られ方はしないだろう
「……えっと――確か救護室にもサイレンサー付きの自動小銃があったような……」
遺書でも書きたかったが、残念なことに紙も筆もない……大変遺憾だがこの際――
「待て、早まるな」
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