午前9時30分 第2東京方面

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「うし、転入生入れ」 教師の御呼び立てに応じて志度、晃、心視、僕の順に教室に入った 途端に教室が更に騒がしくなる。それもそうだろう、志度は白髪、心視は金髪だし晃は美少年だ 男女問わず騒ぐのも当たり前かもしれない と、僕は隅っこに存在感を隠しながら、内心で転入生気分をじんわりと味わっていた ……ただ一人、無駄に騒ぎ立てる女子生徒が現れるまでは 「あー! 晃だー!」 その女子が晃の名前を叫んだ。いきなりの指名に晃はびくりと反応。そして信じられないとでも言うような表情になる 「ま……まさかお前、神楽坂……森羅か? 小学生の頃のあの――」 旧知の仲のようだ、感動の再会とでも言うものだろうか 「やっぱり晃だ! 会いたかったぞ晃ぁぁああ!」「ぎゃああああ」 叫びながら女子生徒(森羅と言うようだ)がマッハの速度で晃に抱きついた。というよりタックルした 晃は吹っ飛んで行った 「志度~生きてるか~?」 「ぅぃぁ……」 その際に晃の横にいた志度が体当たりされ吹っ飛んだが、まぁ返事があるので大丈夫だろう、気にしない 「だああ抱きつくな! 離れろ!」 「いやだ絶対に離さないいい!」 なにやら机と椅子をなぎ倒した先で二人が凄いことになっているが、僕らはそれを見ているしかない 志度はひくひくして倒れているし 心視と教師はただただジーっとこの状況をさも興味の無さそうに傍観しているだけである そんな混沌中、生徒の一人が呟いた 「これ、何てラブコメ?」
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