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「おっふ!!」
思わず変な声を出してのたうち回る、いくら訓練していても後頭部は鍛えられないのだ
「本当に寝ぼすけだなお前は、寝ぼけて頭を打つとは」
「九割方剛のせいだよ……」
仰向けの真上から低い男の声――声を聞いた時点で解っていたが、目の前の角刈りヘアーで無愛想な長身男、安久 剛が真二つに裂いた寝袋を握り締めたまま仁王立ちしていた
「……おはよう剛」
いつもながらの異様な馬鹿力である。素手で戦車くらい撃破出来るのではないだろうか
「というか寝袋が……うわぁ」
僕は深い溜め息をついた――春の沖縄とはいえ夜は以外と寒い……どうしようかな
そして何故わざわざ剛が起こしに(もとい寝袋破壊に)来たのか、聞かねばなるまい、寝坊したからというのはわかっていたが、寝袋破壊は理不尽である
「ねぇ剛「いいからさっさと飯食ってこい」……」
それだけ言うとテントからさっさと出ていってしまった……うん、まだ名前しか言ってないのにね
「……はぁ」
なにか釈然としないが腹が減っているのでなにも言わず。今の騒動でスイッチが切れたラジオを片手にテントから出た
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