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「先生彼女はいますかー?」
一人の女子生徒がニヤニヤしながら質問する。
「今はいません」
そうキッパリ答え、何故か優梨はドキッとした。
何?!この気持ち…。
あたしまさか原田先生に一目惚れしたの?!
その時は自分でもよくわからなかった。
しかし、原田先生の授業を受けるに連れ、その疑問は確信へと変わっていく―
優梨はあまり国語は得意なほうではなかったが、先生に夢中になり、いつしか授業を真剣に聞いていた。
そうすると自然に国語の成績も伸びていった。
真剣な時もあれば時々笑いの起こるような楽しい授業をしてくれる原田先生のことをいつしか「好き」と認めるしかなくなるほど夢中になっていた。
あやに照れながらも言うことに決めた。
「やっぱあたし、原田先生のことカッコイイって思うかも…」
「ほらね?あたしの目は狂ってなかったんだよー」
微笑み合う二人。
二人とも原田先生に気があることがわかったということで、休憩時間には職員室まで行って原田先生と少しでも会話をしよう!ということになった。
あやとそういうことになったけど、何よりもあたしが心からそうしたい!
原田先生ともっといっぱい喋って色んなこと知っていきたいの!
先生が生徒に恋をするわけがない―
そう冷めた気持ちで悟りながらも、自分の気持ちには嘘はつけなかった。
国語の休憩時間は勿論、他の授業で塾に行く時の休憩時間は必ずと言っていいほど、職員室で原田先生を訪ねた。
しかし、中学生が話すことなんてたかが知れてる。
「先生部活何してたの?」
「何で彼女いないの?」
そんな会話でも、優梨は先生と一緒の空間にいられるたった10分の休憩時間が何よりも好きだった。
こんな調子で週に何度も話していたので、あやと優梨はすっかり「あたしたちは原田先生と仲良し」という勘違いをしていた。
先生にとって二人は可愛い生徒ってだけとは知らず。
優梨はある日思い切った質問を原田先生にしてみた。
「ねぇ先生一緒に遊びに行こうよー」
「そんなのダメに決まってるでしょ!」
優しく断られた。
なんでぇ?とも質問したが、先生と生徒が遊びに行くなんてあり得ないとのこと。
そりゃ当然だ。
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