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「君に始めて逢った時も、同じ雪の夜だったね」
僕は誰もいないマンション屋上の片隅を見つめながら独り言を言っている。
彼女との出会いは、二年前、東京では珍しく七センチほど雪が積もった夜だった。
当時、僕は特に生き甲斐もなく、惰性に満ちた日々を過ごしていたが、無邪気な子供の頃の記憶からか、無気力な僕も、雪が降ると雪から生気を与えられるほど、雪が好きだった。
住み慣れたこの街も、雪をかぶることで表情を変えた事に感動した僕は、近くのマンションの屋上に駆け上がった。
マンション屋上の雪と、そこに広がる雪化粧をした街の景色を独り占めするために。
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