12回の金曜日

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(この水分の成分由来は? 頼子か? 頼子の精神か? 触媒は僕か? 僕はこんなときにもこんなことを考えているというのに なぜお前はこんな男に涙を流すのか) 朝が来た ヤスには記憶がなかった 「すりっ」と鳴る枕の上で自分の首を左にひねると すやすや安堵して眠っている 目の腫れた頼子がいる (彼女の毛布は僕のよりもあたたかくて柔らかい) 「ふささ」と毛布をはぎ 這って帰ろうとする刹那 「帰らないで・・」 寝言か本音かわからないが 頼子は確かにそう言った それから金曜日が12回ほど来て ヤスは帰らぬ人になった
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