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(この水分の成分由来は?
頼子か?
頼子の精神か?
触媒は僕か?
僕はこんなときにもこんなことを考えているというのに
なぜお前はこんな男に涙を流すのか)
朝が来た
ヤスには記憶がなかった
「すりっ」と鳴る枕の上で自分の首を左にひねると
すやすや安堵して眠っている
目の腫れた頼子がいる
(彼女の毛布は僕のよりもあたたかくて柔らかい)
「ふささ」と毛布をはぎ
這って帰ろうとする刹那
「帰らないで・・」
寝言か本音かわからないが
頼子は確かにそう言った
それから金曜日が12回ほど来て
ヤスは帰らぬ人になった
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